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【おたよりコラム】積み重なる

 「給食がなくなる!毎日お弁当になる!」うれしそうに声を上げた子がいた!『もし学校がなかったら』というテーマで話し始めた瞬間だった。ちょっと気になって、全員にきいてみる。「お弁当の方が好きな人?」その結果に驚かされた。全員が手をあげていた。「給食だとデザートもあるでしょ?」「お弁当のほうが好きなデザートがつくよ!」給食の冷凍みかんを思い出しながら、給食を擁護したつもりが一蹴されてしまった。

 おかわりができたり、残り物のデザートや揚げパンなどの争奪じゃんけんをやったり、給食には楽しかったという思い出がある。でも、困ることも多かった。魚、エビ、イカ、貝などの魚介類、豆、ナス、トマト、コーン、ドレッシング、とにかく嫌いなものが多くて、嫌々食べることも多くあった。食も細かったこともあり、給食には向いていなかったかもしれない。低学年のうちには、ごちそうさまのあとに残って食べていたことも覚えている。たくさん嫌なこともあったはずだけれど、友だちと食べているという楽しさが、良い思い出としてくれているのだと思う。友だちには本当に感謝したい。

 『お弁当』というと、中高生の時のイメージだけがでてきて、小学生の時にお弁当を食べた覚えがあまりない。それこそ、運動会の時ぐらい。運動会で「好きなおかず作るよ」といわれ、毎年迷いなく冷凍食品の肉巻きポテトとチキチキボーンと答えていたその男の子には、「手作りのおかずを言うんだよ」とこっそり伝えてあげたい。お弁当のことは、そんなことしか覚えていないけれど、おにぎりには思い出がたくさんある。小学生の時、サッカー一筋で毎日ボールを蹴っていたそんな子どもだった。土日祝日に練習や試合。試合になると昼ごはんが必要な時も多く、いつも決まっておにぎりを3つつくってもらっていた。サッカーの試合、勝って仲間と笑いながら食べるおにぎり。負けてしずんんだ雰囲気の中食べるおにぎり。悔しさで涙がとまらず、涙しながら食べたおにぎり。ひとつひとつの試合や試合会場と一緒になって出てくるのは、母の握ったおにぎり。おかかとこんぶのおにぎり。もう10年以上も食べていないけれども、おにぎりというと母のおにぎりのイメージがでてくる。

 子どもたちと遠足やキャンプにいくと出会うひとつとして同じものがないおにぎり。おにぎりを食べている時には、みんな笑顔になっている。きっと子どもたちに『おにぎり』といったときには、『お母さんが作ったおにぎり』のイメージがでてくるのだろうなと思う。きっとお弁当も。学校での給食か『お母さんが作ったお弁当』。

 キャンプなどで子どもたちがホームシックになるのは決まって夜ご飯の時、『お母さんの作った夜ご飯』じゃない、とさみしくなりはじめる。子どもたちにとって『お母さんの』というものがたくさん、本当にたくさんあって、いつもの『お母さんの』に安心を得ているのだろうなと思う。

 子どもたちにとって、いつもの『三尾の』とすこしでも安心できる場所に、おにぎりやお弁当ではない何かを探していきます。

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