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【おたよりコラム】出会い

 たくさんの本をいただいた。その中に1冊の『片耳の大シカ』という本があった。私にとって、とても懐かしい本だった。

 私は根っからのスポーツ少年で、友だちはボール。学校から帰るとランドセルを捨てるようにおき、ボールを自転車のかごに入れて学校へというタイプだった。そんな小学生時代の私には「本を読む」という習慣もなければ、「図書室なんかには絶対行くものか!」と思っているほどだった。文字を読むのは国語の教科書の音読ぐらい。そんな私が、自ら読みたいとはじめて思ったものが椋鳩十さんの動物シリーズだった。どうして読みたいと思ったのか、そこは覚えていないのだけれども、おそらく、小学校4年生の国語で『大造じいさんとガン』という椋鳩十さんの作品に触れたことがきっかけになったのではないかと思う。休み時間になるとだれよりも早く校庭にでることに命をかけていた私が、6年間で自分から図書室にいったのはこのシリーズを借りるときだけだったと思う。このシリーズの「片耳の大シカ」「金色のあしあと」「月のわぐま」たくさんの本がたくさんあったのを覚えている。そんな思い入れのある本なのだけれども、椋鳩十さんのシリーズが好きだった、ということしか、覚えておらず、残念なことに、本の内容がどんな話だったのか、すっかり忘れ、思い出せない大人の私がいます。

 私はあまりどころかまったく本を読んできませんでした。読書感想文などで読まなければならないものは読んでいたものの、外でも家の中でも身体を動かすことばかりしていました。本を読むということは大学生になってからのこと。興味のあることに関してのみですが、本を手にするようにもなりました。そんな本嫌いな私が大学生までにはまったシリーズの本が3つありました。1つ目が、椋鳩十さんの動物シリーズ、2つ目が、ハリーポッター、3つ目が、赤毛のアンシリーズでした。中でも赤毛のアンシリーズには本当に好きで、何十回と読み返していました。赤毛のアンといえば、幼少期のアンの話なのですが、シリーズには、アンが大人になってからの話、アンの子どもたちの話ととっても長い時間を綴られています。赤毛のアンは何度読んでもいろいろと感じることがあり、一番好きな本は?と聞かれたら、間違いなく赤毛のアンシリーズとこたえます。その赤毛のアンにであったのは中学1年生。こちらも中学の英語の教科書ででてきたのがきっかけ。

 出会いは本当にわからないもの。でもきっとたくさんのことを感じ、ずっと記憶に残る本は子どもの頃に読んだ本なのではないかなと思っています。毎日のように本を読む方にとっては違うのかもしれませんが。子どもの頃の出会いはとてもとても大切なもの。たくさんのものに触れる機会も大切ですが、ひとつものにじっくり触れる経験も大切。いろいろなものを感じ、ずっと残るような素敵な思い出になるといいなと思います。まず、いただいた「片耳の大シカ」読みかえそうと思います。 

三尾 新

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