【おたよりコラム】誇らしい子たち
新しい学年がスタートしました。ご入学、ご進級おめでとうございます。毎月お配りするこのおたよりでは、私がどんな人なのか、どんな想いをもって子どもたちに接しているかなどが少しでもお伝えできればとコラムを書かせていただいております。もしよければ暇つぶしにで構いません。読んでいただけますと幸いです。 新しい学年がはじまる少し前のこと。「一番楽しかった!」「もう一度ここにきたい!」「もっともっと長く泊まれたらよかったのに!」そんな言葉が聞こえてきたのは、しばふハウスのイベントとして、『古民家に泊まろう!』というイベントを行った後のこと。子どもたち17名が参加した1泊2日のイベントですが、内容はただただ自由!というものでした。起きるのも寝るのも、ご飯をつくるのも、それこそどこで寝るのかも。本当にどう過ごすかも全部自分たちで決めることができるイベントでした。私としては初めて教育的な意味や目的を考えず、純粋に自分たちで楽しむということだけのイベントを行ったので、こんななにも自分が用意しないイベントでもいいのかなと少し不安になっていました。そんなイベントでしたが、今までのイベントの中でも、一番感心することが多かったイベントとなりました。 感心したことはあげればきりがないほど。電車内で立っていても誰一人座りたいといわない。駅や道の人の多いところでも、人の迷惑ということを考え、止まったり歩いたりすることができる。すれ違った人に当たり前に挨拶ができる。体育館でチーム戦で遊んでも、相手チームまで応援する。ボールやテレビなどの取り合いが一切生まれない。一人ポツンとなる子がいない。料理や荷物を運ぶのもとにかく手伝おうとしてくれる。自分のできることを自らさがして動こうとしている。何も指示しなくとも先々のスケジュールを考え、お風呂のセットを出しておいたり、翌日の服を出してまとめておいたりとみんなで考え動いている。寒いと感じた時に自分で判断し、上着を取りにいくことができる。明日の朝早起きして料理をするためにと、夜起きている楽しさよりも早く寝るという決断をし、朝一番に起きてくることもできる。友だちにできないことがあったとき、すぐに手を差し伸べてあげることができる。してはいけないことを自分で考え、守るだけでなく、人に伝えることもできる。トイレ掃除などの人が嫌がりそうなことを率先して「やるよ!」と言ってくれる。帰りにきた宿の方、電車で一緒になったおじいさんなど、初対面の大人とも当たり前に会話ができる。帰りの電車でも席をぱっと立っておじいさんたちにさっと席を譲ってあげる。もう本当に言いはじめたら止まらないほど。 私が、教室でもキャンプでも、常に子どもたちに伝えたいと考えていることは、勉強ができること以上に、常日頃から当たり前に相手を想うこと、そして、自分で状況を判断し、自分で決めるということ。そんな私の想いをしっかり一人一人が受け取ってくれているんだなと感じることができた。いきなりみんながこうやって行動できるなんて思っていない。何年も積み重ねながら、だんだんとできるようになる。そしてできるようになったことを下の子に伝えていく。その上級生からの言葉を素直に受け取っていく下の子たち。そんなことができる子たちが本当に誇らしい。どんどん成長する子どもたちの近くで見守っていくことが今の私にできること。子どもたちは遊びだとしか思っていないかもしれない。でもそれが一番成長につながる取り組み姿勢だと私は思う。遊びだと感じ、自由に発想しながら育っていける、そんな場を、きっかけをたくさん用意していきたい。 ひとりひとりの良さをどんどん伸ばしていくことができるよう、全力で子どもたちに向き合っていきたいと思います。本年度もどうぞよろしくお願いします。 三尾 新