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【おたよりコラム】放課後の時間

 学校から帰ると、ボールをかごにのせ、毎日、学校か公園に自転車で駆け出していく。だれがいるかなんて関係ない。とにかくボールをもって外へ。他学年でもまざってサッカーをしていたし、ひとりでもボールをけっていた。他の子がゲームやカードをしていても関係なく、砂まみれになりながら、身体を思いっきり動かしていた。そんな毎日の放課後が楽しくて仕方なかった。でも毎度靴下が茶色くなるので、お風呂の時に洗濯板で汚れを自分で落とさないと洗濯してもらえないという残念な特典付きだった。  そんな楽しい放課後だけど、遊びだけではなく習い事もしていた。1年生のころからやっていたのは、サッカーとピアノ。サッカーは年長のときに幼稚園のチームでやったのがきっかけ。でも小学校にサッカークラブがなかったので、母が知り合いと一緒に、地域のサッカークラブをつくってくれた。母の活動力には心から尊敬と感謝をしている。すべての土日祝日をそのサッカーに使っていたため、家族でどこかに、というのは長期休みぐらいしかいっていないけれど、サッカーができることがなによりの楽しみだった!そんな運動少年の他の習い事ひとつ目はピアノ。2つ上の姉のレッスンについて行ってはピアノの下で寝たり、ピアノで遊ばせてもらっていたのがきっかけとなったらしい。でもピアノはものすごく好き嫌いの波があった。先生の結婚や引っ越しが理由で先生が何人か変わった。1人目と2人目の先生はペダルをどんどん使わせてくれ、楽しいピアノだった。曲も作らせてくれた。セミをみつけて追いかけたらおしっこをかけられた、というくだらない曲でもほめてくれたのを覚えている。その後、音大に行かせるような先生に変わると、自由に楽しみたい私とは相性が合わず、一転、ピアノが嫌いに。もとより練習はサボりがちだったけれど、どんどんやらなくなってしまった。そして6年生で受験を理由にやめることに。でもやめてみるとピアノが好きだったことに気づき、中学生になってから楽しめるピアノの先生を新しくみつけ、また習い始めた。そこから高3まで続けたことを思うと、一番長く習い続けたのはピアノということになる。  あとは水泳と習字。水泳はとても楽しく通っていたと思う。でも3年生か4年生かのタイミングで大会にでて、満足してやめたように思う。習字は、定期的に賞をもらえることが嬉しくてやっていたけれど、プールと同じで、結局は外で遊ぶことの楽しさに勝てなかったのだと思う。どちらも2、3年やって、ある程度できるようになってやめた。あとは4年生の夏休み短期で1週間ぐらい習ったのが、体操。転入生の子が体操を習っていて、バク転や転回をしていたのに憧れて「やりたい」と志願。楽しかったけれど、待つ時間が多くて、短期の体験でおわった。  もうひとつ大きな習い事としては塾がある。『サッカー選手になる!』それしか頭にない自分にとって、6年生になるまで、私立の中学を受験をするなんて全く思っていなかった。それでも受験というものの存在をしっていたのは、2つ上の姉が受験をしたから。姉の受験がおわるころ、私は5年生になる直前の4年生。たぶんそれが塾にいった初めてのタイミングだったのではないかなと思う。入塾のお試しテストみたいな全国模試をうけた。後日、テストの結果が印字された紙と、入塾前にも関わらず銀色のメダルも一緒に受け取ったのを覚えている。おそらくそこから自分は勉強で人と競争する楽しさに目覚めたのだと思う。順位がでる勉強が楽しくてならなかった。順位が出る!そして勝てる!ということはもう至高の喜びだった。週1回程度だったらまあよし、そんな感じで通っていたのが5年生の頃。でもこれが6年生になると週に2、3回、土日も、と通う日数が増えてきた。土日は絶対にサッカー。もうそれだけはゆずれなかったので、塾を変えることに。変えた理由に、実は「新しい塾に算数を伸ばしてくれるすごい先生がいる」という情報が母の耳にはいったというのもあったようだが、そんなことはつゆしらずだった。新しい塾はレベルが高く、難関中学を狙っている子ばかり。なかには「将来東大にはいるんだ!」なんていう子もいて大学なんてしらない自分はポカンとしたのを覚えている。でもその中でやり続けられたのは、「負けたくない」という気持ちが大きかったからだと思う。そして、ひとり電車にのって通うようにもなった。それでも優先順位1位はサッカーだったので、練習や試合があるとユニフォームのままで塾に遅れていくこともあった。こう書くとすごく前向きにがんばっていたように思えるけれど、塾の回数が増えてきたとき、なんども塾をさぼろうとした。学校にサッカーをしに遊びにいったまま塾に行かなかったことがある。母が遊び場まで車できてこっぴどく怒られ、連行。そんなことも何度もあった。受験もその中学に行きたいとかはなく、サッカーのクラブチームの入団テストの方が真剣だった。そんな状態でも受験を乗り切ったのは単純にできるようになる楽しさを感じていたことと、ただただ負けず嫌いな性格のおかげとしか言いようがない。  たくさんの習い事をしてきたように思う。好き嫌いもあった。先生との相性もあった。でも決まって同じなのは友だちのいない習い事にしか入らなかったこと。結果的に友だちはできる。はじめるのもやめるのも自分がどうしたいかにしっかり向き合って判断できたことがとても大きかった。新しい習い事で新しい人たちの中で、自分と向き合うことが、自分で考える第一歩となる。これからまた新しい年度が近づいてくる。新しい習い事、やめる習い事、いろいろ考える時期だと思う。ひとつひとつ子ども自身がどう思っていて、親がどう思っているのか、友だちがいるから通うのか、ひとりでも通うのか、そんな想いを話す時間、大切にしてみてくださいな。   三尾 新

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