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【おたよりコラム】いつものこと

 いよいよ冬休みが近づいてきました!冬休みのイベントといったらクリスマスにお正月にと盛りだくさん!そんなイベント盛りだくさんな冬休みですが、私の小学生のころの冬休みの思い出といったら、正月を名古屋の祖父母の家で過ごしたこと。きっとほかにもいろいろなことをさせてもらったはずだけど、それ以外の思い出は?というとあまりでてこなくて、ワクワクしながら家のポストに自分宛の年賀状がきたか確認しにいったことと、庭の池(プラスチックの箱を埋めただけのもの)に氷がはっていたのを喜んで割っていたことぐらい。じゃあ祖父母の家でなにをやっていたか、というと、特別なことはあまり覚えていなくて、年越しそばを食べていたこと、年が明けると近くの河原にたこあげをしにいっていたこと、あとは、いとこにちょっと会ったりするぐらい。なにかを楽しみにしていたわけではなかった。じゃあなんでそんなに思い出に残っているんだろうと考えてみると、家族で遠くに出かけるということがあまりなかった(と思っている)私にとって、夏と冬に車で時間をかけて名古屋にいくということがとても大きな遠出だったんだろうな、と思う。そして、毎年毎年いくことで、なにか自分にとって名古屋が親しみのある場所というより、自分の一部になっていたように思う。

 子どもたちと一緒にいると、これをやらせてあげたい、ここに連れていきたい、といろいろなことを考えることがある。いろいろなことに触れることは、その子の興味の幅を広げたり、その子の好きをみつけたりするきっかけとして、とても大切なことだと思う。でも私にできる1回限りのイベントは、私の子どものころの記憶のように、大きくなったときには、忘れてしまうような経験なのだと思う。もちろんその中で少しでもなにかのきっかけになったり、心に残ったら、と思っているけれど、やはり子どもたちにとって一番なのは何度も繰り返し、当たり前のようにやっていた経験なのではないかと思う。それは毎年祖父母の家にいくというような時間や労力のかかるものではなく、日常的なものでもよいのだと思う。私が子どもの時の日曜の朝。少年団のサッカーの練習が午後からで、家族そろって午前に余裕があると、決まって朝ごはんはホットケーキだった。卵を割って、ホットケーキの生地をつくり、ホットプレートでみんなでつくりながら食べる。これがうちのお決まりだった。作るところから一緒に参加できることが楽しかったという思い出がある。私の最初の料理は?といったら、ホットケーキだったかもしれない。それくらい当たり前になっていた。毎日の積み重ねもある。ついているテレビ、流れている音楽、毎朝食べるもの、そういったものは、1回の思い出としてはとてもちっぽけなものかもしれないけれど、何度も何度も当たり前のように繰り返されることで、深く深く心に刻まれていき、とっても大きな思い出となるのだと思う。

 これからはじまる冬休み、いろいろな経験をすることもとっても素敵なこと。そして、もし時間があったら、うちの「当たり前」ってなにがあるんだろう、と、改めて家族で当たり前を探してみたり、新しい年がはじまるタイミングに合わせて新しい「当たり前」を考えてみるのもよいかもしれません。私も自分自身の当たり前も見つめ直しつつ、子どもたちにとって、きっかけだけでなく、「当たり前」を少しでも作っていけるように、これからのやりたいことの想像をふくらましてみようと思います。

三尾 新

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