【おたよりコラム】失敗を身近に
「こわいからやらないー」「水の上じゃないところやるー」ゴールデンウィークに子どもたちを連れて清水公園のアスレチックにいったときの、公園へ向かう途中、子どもたちから聞こえてきた声だった。アスレチックは楽しいけれど、高いところへの恐怖心、落ちてしまうかもという不安、やりたくない理由はきっといろいろあるんだと思う。でも最初の言葉は、誰か他の人の前で失敗した姿は見せたくないという気持ちから発せられているようにも感じた。結局、陸上のアスレチックを楽しんで、ワクワクしているタイミングで、当たり前に行くものとして、水上のコースへ全員連れていくことにした。水上コースでは、陸地のアスレチック以上に、どんどん「次やっていい?」と目を輝かせている姿、ぐっと真剣な表情でロープを掴む姿、足場が安定せず、怖くて動けなくなる姿、本当にいろいろな姿がみられた。水上コースに入って、みんなの様々な表情をみること1時間。コースを終え、楽しみきった子たちの表情は全員が「やりきった!」というものすごく自信にあふれていた。もちろん全員が失敗することなくやり切れたわけではないし、全てがクリアできたわけでもない。なんなら、水にぬれずに全部やり切った子はいなかったのではないかと思う。それでもやりきった表情になれたのは、成功したか失敗したかよりも、できるかな?できないかな?というものにどれだけ挑戦したか、という挑戦の数が多かったからだと思う。挑戦は、子どもたちだけに限らず、誰しもをぐっと成長させてくれる。それが、大きな挑戦でも小さな挑戦でも。
でもじゃあ挑戦させてあげようとしても、これが、なかなかに難しい。やってみようと本人が思える環境をつくらないといけないし、これは失敗するなーとわかっているときにも、先回りせずに、ぐっと待つ必要もある。やってみようと思える環境は、挑戦を用意してあげることよりも、当たり前にみんな失敗するものだし、失敗してもいい、むしろ、失敗を楽しめたら最高!という雰囲気作りが一番大事なのだと思う。「やってみようかな。でもどうしよ。」とためらっているときには、「やってみなよー」という言葉よりも、「たのしそーやってみよ!」とやっている人がいることが、背中をおしてくれる。「失敗したらどうしよう」と不安になっているときには、「失敗しても大丈夫だよ!」という言葉よりも、失敗して楽しそうに自分で笑っている人がいることが、背中をおしてくれる。そんな一緒に挑戦し、一緒に失敗し合える仲間が1人でも、2人でもできたら、最高に幸せなことだと思う。
挑戦にもいろいろなものがある。その中でもおすすめなのは、3つある。1つ目はアスレチックのような身体を動かすこと。2つ目は、けん玉や縄跳びのように数が数えられたり、タイムを測れるもの。そして3つ目はお菓子作りやごはん作りなどの料理。1つ目の身体を動かすことは、だんだんできてきているという感覚を感じやすく、「できた!」という達成感も大きい。頑張った身体の疲労感すら楽しく感じられるし、体力がつくことが、いろいろな集中力などをあげることにもつながる。2つ目の数が数えられるものは、どんどん記録を更新していく楽しさや、目標の設定が簡単であることがある。見ている側も褒めやすかったり、おしい!と伝えやすいのも大きな良さだと思う。3つ目の料理は、段取り力や説明書を読む力、想像する力、いろいろな力が身に付くので本当におすすめしたい。身につく力もあるけれど、なんといっても、出来上がった時の達成感、周りからの嬉しい声、これがなによりも最高なのは言う必要がないぐらい。 新しい年度がはじまり、1ヶ月。新しい挑戦をしはじめるには、とてもよいタイミングだと思う。私自身が挑戦する姿を子どもたちにみせて、自分もやってみよう。そんなふうに思ってもらえるようにしていきたい。そんな私の最初のチャレンジは、洋服づくり。型紙から洋服をつくってみる、に取り組んでみようと思う。初めての挑戦。さぁ、うまくいくか。失敗も笑ってみれたらと思う。
三尾 新
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